文系学部削減と臨床研究

 NHKで文系を中心に、国立大学学部再編が進むと報じていまそした。政府は、色んなことを言っていますが、カネがないから「弱いところ」から削っているだけでしょう。
 東大のような巨大な総合大学にいて感じるのは、文系を削ると、理系や医学バカだけになってしまうことです。バランスのとれた指導ができません。
 削るなら「営利部門」をもつ臨床医学の予算だと思います。他に資金を得る手段があるからです。規制緩和すれば、診療を通じて資金を獲得できます。
 私は、医療・介護難民が増えている横で、「医師主導臨床研究」や「TR推進」などに巨額の予算と人材を投入することには反対です。
 国民が飢えているのに、核兵器や宇宙開発を続けた、かつての中国・ソ連を連想します。両国で医療は発展しませんでした。
 私は「高齢化」対策こそ、我が国の医療が抱える最大の問題だと考えています。高齢化対策では「現場」にチャンスがあります。
 もっとも、かつ急速に高齢化が進んだのが福島県の浜通りです。いま、ここで働くのはチャンスです。
 私どもの関係者の多くが、現地の医療機関に常勤医師として勤務し、診療・研究活動に従事しています。最近の課題は被曝よりも、高齢化です。
 浜通りには10名程度の若手医師が常勤で勤務していますが、約50本の震災に関わる英文論文を発表しました。福島医大・広島大・長崎大の合計と遜色ありません。
 若手医師たちは一銭も公的研究費をもらっていません。私もです。実は、医療現場の研究に金は余り要りません。むしろ、公的研究費を使うと、書類・発表会など余計な手間ばかりが増え、現地で活動する時間が減ります。
 本気で「臨床研究」したければ、長期にわたり、現地で診療すべきです。
 その際、場所を選ぶこと。浜通りに若き医師が集まるのは、立谷市長、金澤先生(南相馬市立総合病院長)、常磐会長(ときわ会)らのリーダーが傑出した指導力をもっているからです。