HPVワクチン騒動の論点

 新潮社のフォーサイトに、HPVワクチン騒動の問題点をまとめた文章を寄稿しました。
 HPVワクチンの安全性については、すでに世界的なコンセンサスがあります。一方、今回の騒動で、我が国では無過失補償制度が機能しませんでした。
 ワクチンの安全性と、患者救済は別個に議論すべきです。
 お読み頂ければ幸いです。

「子宮頸がんワクチン訴訟」で明らかになった「情報」と「制度」の不足
http://www.fsight.jp/articles/-/41084

相馬高校から東大合格

 嬉しいニュースがありました。福島県立相馬高校の名取君が東大理科二類に合格しました。名取君は吹奏楽部長だとか。文武両道です。


 震災後五年間で二人目です。震災前は十二年間合格者がいませんでした。

 復興は教育から。名取君の努力もですが、小野田先生を中心とした教師陣のご尽力には頭が下がります。浜通りが復興、発展しつつあることを実感します。


 写真は2011年12月、相馬高校校門前の焼き肉屋さんでの光景です。手前が小野田先生です。このころ、よく飲みました。熱心な先生方ばかりでした。あれから四年四ヶ月。今日の日を迎えました。おめでとうございます。


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 余談ですが、この焼き肉屋さんは巨人の代走のスペシャリスト鈴木選手の実家です。
 

 ロンドンの野村周平君たち( Shuhei Nomura )との共同研究の論文が発表されました。
http://bmjopen.bmj.com/content/6/2/e010080.full


 テーマは「原発事故後の避難が長期的に慢性疾患に及ぼす影響」で、以下がポイントです。お読み頂ければ幸いです。


(1) 糖尿病と高脂血症のリスクは、事故から3年以上経過しても、事故前過去3年と比較して有意に高かった。これは避難の有無にかかわらず認められており、災害後、長期的にこれらの慢性疾患管理が重要であることを示唆している。

(2) 一方、高血圧リスクは事故後の上昇が見られなかった。可能性として、他の2疾患(高脂血症と糖尿病)に比べ、セルフモニタリングが悲侵襲的でかつ簡便であり、もともと社会一般の関心の高さが働いたことが考えられる。内服によるコントロールのしやすさも関係しているのかもしれない。

(3) 本研究は、当該地域にて避難と高脂血症の長期的リスクの関係を示した最初の調査である。今後も避難者の健康に対しては長期的な介入が必要である。

 HPVワクチン問題が迷走している。WHO, CDCに続いて、欧州の規制当局(EMA)までが、HPVワクチン安全宣言を表明した。これで、HPVワクチンの安全性については、世界的なコンセンサスが確立したといっていい。

http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp...

 ところが、このことを日本のメディアは報じなかった。なぜだろう。
 私は、HPVワクチン事件は、一部メディアが作り出した「冤罪」だと思っている。最大の問題は、「患者を利用した」こと。
 この事件のきっかけは、神経症状で困っている女性患者がいたこと。そして、彼女がHPVワクチンを打った経験があったこと。それを見て、誰かが「ワクチンが悪い」と言い出した。ただ、ワクチンは原因の可能性の一つに過ぎない。先入観なく、科学的な議論が必要だ。ところが、マスコミが視聴率のために患者を利用した。
 きっかけは13.4.8の記事だ。各紙、以下のように報じている。
「子宮頸がん、ワクチン接種中止を―民間団体が嘆願書」
 ただ、これは適切な報道だと思う。メディアは、まず被害者サイドにつくべきだからだ。
 この後、新聞各紙でHPVワクチンの扱いは随分と差が出る。特にワクチン叩きに熱心だったのは朝日だ。それから二ヶ月の間に9つの記事を配信している。ちなみに読売は一つ、共同は3つだ。
 記事内容は以下のような感じ。前者を挙げて、アンチキャンペーンをはっていることがわかる。
5/13 (私の視点)子宮頸がんワクチン 安易な接種の推進やめよ 池田利恵
5/27 (声)子宮頸がんワクチンに不安
 その後、報道の中心になるのは、斎藤智子記者だ。最近二年半の間に24本の記事を書いている。論調は以下の通り。
(記者有論)子宮頸がんワクチン 国の推奨再開、納得できぬ 斎藤智子
 彼女が記事の中で、WHOの声明に触れたのは三回だけ。
「世界保健機関(WHO)は日本の状況を踏まえたうえで、ワクチン接種を推奨している」と末尾に書いている。
 CDCやEMAには一回も言及していない。
 私は、メディアが自ら、HPVワクチンに関する報道を総括すべき時期だと思う。HPVワクチン騒動は、マスコミの「過失」から始まった。繰り返すが、メディアが患者に寄り添うのは「正しい」と思う。
 問題は、世界中で研究が進んだのに、「誤報」を怖れたのか、一向に論調を変えなかったこと。これでは、従軍慰安婦報道から何も学んでいないことになる。
 その結果、他に原因がある女子の患者が、「何が何でもHPVワクチンのせいにしたい」大人の都合で無意味な闘争に巻き込まれている。
 すでに世界のコンセンサスは出た。
 マスコミの皆さん、そろそろ「反省」したらどうだろうか。これ以上やると「故意犯」になる。

 ネパールからの留学生アナップ君が南相馬市立総合病院での研修を終え、帰国の途につきました。先ほど、児玉有子さん、大川君が送って行きました。
 アナップ君にとって素晴らしい短期留学だったようです。色んな日本を経験しました。また、学問もしました。
 ランセット・グローバルヘルスにレターを投稿し、受理されました。福島の地元紙にも紹介頂きました。一つは投稿です。
 彼を招いたのはアナップの友人の樋口朝霞さん。友達にカンパを募り、渡航・滞在費用を工面しました。渡航や入国についてはノウハウのある世界こども財団の皆様に教えて頂いたようです。
 今回の件を通じ、樋口さんも大きく成長し、自信をつけました。素晴らしい手作りの国際交流でした。来年、今度は樋口さんがネパールに行くそうです。
 お世話になった関係者の皆様に心より御礼申し上げます。