インフルエンザA(H1N1)流行時の市中におけるマスク使用についてのアドバイス
暫定ガイダンス
3 May 2009
この文書はコミュニティレベルで新型インフルエンザ(H1N1)がアウトブレイクを起こしていると報告された市中でのマスク使用に関する暫定的なガイダンスを提供するものである。これはさらなるdataの利用が可能になった場合は見直されるものである。
背景
現在新型インフルエンザがヒトーヒト感染を起こすメインの経路としてはしゃべったりくしゃみ、咳をしたときの呼吸器飛沫が示唆されている。
インフルエンザ様症状(発熱、くしゃみ、咳、鼻水、寒気、筋痛など)を示す人に近づいたclose contact(約1m)人は、誰もが感染性のある呼吸器飛沫を浴びるリスクにさらさられる。
医療環境下では呼吸器系ウイルス飛散の抑制を調べたスタディによって、マスクの使用はインフルエンザの伝播を減らすことが示唆されている。医療環境下でのマスク使用のアドバイスには、その効果にインパクトのあるであろう正しい使用法のトレーニング、規則正しい供給、適切な廃棄設備のような追加措置に関する情報がつきものである。市中ではマスクを着用するベネフィット、特に囲まれたスペースに対してのオープンな場所での、インフルエンザ様症状を示す人との接触(close contact)に関する利点は確立されていない。
にもかかわらず、多くの人は家庭内、または市中でマスク着用を希望する。特に、インフルエンザ様症状を持つ人と密接に接触する人達、たとえば、家族のケアをする間などマスク着用を希望する。
その上で、咳エチケットの一部として、呼吸器系飛沫を抑制するためにインフルエンザ様症状を示すひとの口や鼻をカバーする目的でマスクを使用することは可能である。
マスクの不適切な使用は実際、感染のリスクを減らすよりもむしろ増やす可能性がある。もしマスクを使用するなら、他の一般的なインフルエンザのヒトーヒト感染を防ぐような措置や、正しいマスクの使用法のトレーニングと一緒に組み合わせて使用するべきで、文化的、個人的利益をよく考えることが必要である。
総合的なアドバイス(General advice)
市中一般の環境ではインフルエンザの拡大を防ぐためには、市中一般の環境ではマスクを着用することよりも以下の一般的な措置がより重要である事を理解しておくことが重要である。
元気な人に関して
インフルエンザ様症状を示すひとから最低1mの距離を保つ。そして:
・口と鼻を触ることを控える
・石鹸と流水、またはアルコールベースの手指消毒剤で頻回に手をきれいにする。特に口や鼻、汚染されている表面にさわったとき
・具合の悪そうな人と密接に接触する時間を出来るだけ少なくする
・人混みの中にいる時間を出来るだけ少なくする。
・出来るだけ窓を開けるなどで住居スペースの空気の流れを改善する
インフルエンザ様症状を示す人に関して
・具合が悪く感じたときは家にとどまり、地域の保険助からの勧めに従うこと
・可能な限り具合が悪くない人との距離を保つこと(最低1m)
・咳やくしゃみをするときは呼吸器分泌物を抑えるためティッシューまたはその他の適切なもので口と鼻を覆うこと。使用したものは適切に捨てるか洗うこと。呼吸器分泌物に触れたときは適切に手を洗うこと!
・出来るだけ窓を開けるなどで住居スペースの空気の流れを改善すること
もしマスクを着用するなら、適切に使用し、適切に廃棄することは、マスク着用の効果を確実にするためと不適切なマスクの使用に関するいかなるリスクの増加をも避けるためには基本的な事項である。
マスクの正しい使用法に関する以下の情報は、医療環境におけるプラクティスに由来する。
・マスクを慎重に口と鼻を覆うようにつけ、顔とマスクの隙間が出来るだけ小さくなるようにしっかりとひもを結ぶ。
・使用する間はマスクにさわらない
ー外すときや手を洗う際にマスクにさわったときは必ず石鹸と流水か、アルコールベースの手指消毒剤で手指をきれいにする
・マスクがしめったときは出来るだけ早く新しい乾いたものに交換する
・単回使用のマスクをリユースしない
ー単回使用のマスクは使うたびに捨てる。はずしたら適切に廃棄する。
標準的な医療用マスクの代用として他のもの(布マスク、スカーフ、紙マスク、鼻と口を覆う布きれ(rags)が使用されるが、コレラはその効果について情報が不十分である。もしこれらの代用バリアを使用するなら、単回使用にし、また、布マスクの場合は使用のたびに確実にきれいにする(通常の家庭用洗剤で常温で洗濯するなど)べきである。これらの代用品は病期の人をケアした後には適切に外すべきである。マスクを外したら直ちに手を洗うべきである。
この記事は、
http://www.who.int/csr/resources/publications/
swineflu/masks_community/en/index.html
から引用しています。亀田総合病院臨床検査科の細川直登先生のご厚意により、訳文をいただいて掲載させていただきました。