WHO: インフルエンザA(H1N1) FAQ ~抗ウィルス薬の使用について

Use of antiviral drugs against influenza A(H1N1)

21 May 2009

 

どういう目的ならば、インフルエンザA(H1N1)に対して抗ウイルス薬が使用可能ですか?

 

今のところ、新型A型ウイルス(H1N1)に感染すると、ほとんどの場合、インフルエンザに似た症状(のどの痛み、咳、鼻水、熱、倦怠感、頭痛、関節痛・筋肉痛など)を経験したあと、抗ウイルス薬の投与を受けずに回復しています。

抗ウイルス薬は、季節性のインフルエンザ(訳注:冬に流行するタイプの一般的なもの)に使用したときと同様に、新型インフルエンザの症状を減らしたり病気の期間を短くしたりする効果があるようです。また、抗ウイルス薬はインフルエンザの重症化やインフルエンザによる死亡を防ぐのに役立つ可能性があるようです。A型インフルエンザA (H1N1)は新型ウイルスであり、抗ウイルス薬での治療を受けた感染患者はごく少数です。WHOは、感染が出ている国々の公衆衛生機関や臨床医と連絡を取りながら、抗ウイルス薬がどの程度の効果があるか情報を集めています。

どの抗ウイルス薬がA型インフルエンザウイルスに対して効果を示していますか?

インフルエンザに対する抗ウイルス薬は2種類あります。ひとつがオセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)といった、ノイラミニダーゼ阻害剤です。もう片方は、アマンタジン(シンメトレル)やリマンタジンといったアダマンタン系薬剤です。メキシコやアメリカの新型インフルエンザ患者から得られたウイルスをつかってテストしたところ、流行中の新型H1N1ウイルスはノイラミニダーゼ阻害剤には効果を示しているが、アダマンタン系薬剤に対しては耐性を付けているようです。

この新型ウイルスはオセルタミビルやザナミビルに対して耐性をつけることがあるのでしょうか?

インフルエンザに対して使われている抗ウイルス薬に対して耐性をつける可能性があるので、WHOと協力機関は抗ウイルス薬に対するウイルスの耐性を監視しています。

抗ウイルス薬が処方されるべきなのは、どのような状況のときですか?

抗ウイルス薬は、国のインフルエンザ流行対策案(national pandemic influenza preparedness plans)に基づいて投与されるべきです。いくつかの国の公共保健機関は、A型インフルエンザに感染していると疑わしき人への投与を流行対策案に盛り込んでいます。

抗ウイルス薬の投与が可能な場合、臨床医がそれぞれの患者のリスクを加味した上で投与するかの決断を下すべきです。個々の事例に置いて、副作用と効能の考えるべきです。

新型ウイルスにかかった場合に備えて、今、抗ウイルス薬を投与してもらうべきですか?

いいえ。 オセルタミビル(タミフル)やザナミビル(リレンザ)などの抗ウイルス薬は、医療者が、必要と判断した場合においてのみ投与されるべきです。個々人は処方箋が無い場合に新型ウイルス予防に薬を買うべきではなく、インターネット上で抗ウイルス薬を買う場合には非常に注意しなければいけません。

 

インターネットなどでの、処方なしでの抗ウイルス薬の購入に対する警告(英文)[pdf 35kb]

 

WHOは流行に対する抗ウイルス薬の準備についてどのような対策を行っているのですか。

WHOの最優先事項は、抗ウイルス薬の緊急用の備蓄が不十分、あるいは自国で抗ウイルス薬を製造する能力のない国々に対して抗ウイルス薬を分配することです。

WHOは同盟国、寄付団体や、その他の抗ウイルス薬の十分な備蓄がありこれらをWHOと共有しようという団体とともに、抗ウイルス薬の必要な国に対して分配を行っています。

どの抗ウイルス薬が分配されるのですか。また、WHOはどの程度の備蓄があるのですか?

WHOには成人約500万人分のオセルタミビル(タミフル)の備蓄があります。この備蓄の一部はすでに、割り当てと分配を統治するWHOの地域拠点を通じて分配されています。現在、残りの成人300万人分の備蓄を、必要な発展途上国に分配しています。

WHOは引き続き抗ウイルス薬の需要を見ながら、製造者と協力して抗ウイルス薬の備蓄に努めます。抗ウイルス薬の備蓄が入り次第、更なる分配を行う予定です。

Antiviral distribution plan - country list
Antiviral distribution plan
5 May 2009

どの国が抗ウイルス薬の分配を受けるのですか。それらの国はどの様にして選択されているのですか。?

WHOは抗ウイルス薬備蓄の第一次配分を72カ国に対して行っています。国の抗ウイルス薬製造能力と調達能力を考慮した上で、薬の必要な国に対して優先的に配分されます。必要に応じて、地域拠点の備蓄品を通じて他の国々も援助します。

第一次配分が不十分であった場合どうするのですか?

WHOは、将来的な抗ウイルス薬製造の増産の必要性について製造者達と協議しています。WHOでは、製造者達が大量の抗ウイルス薬を短期で製造する予定を持っているものだと理解しています。

WHOは同盟国のために、寄付か最安値での購入を通じて、さらなる抗ウイルス薬の備蓄に努めます。

 

 

 

http://www.who.int/csr/disease/swineflu/
frequently_asked_questions/
swineflu_faq_antivirals/en/index.html