「医師偏在」は認識の誤り 医療費削減について

舛添大臣は頑張っていますが、福田総理や経済財政諮問会議の方針で、医療費削減の方向が決まろうとしています。

■「医師偏在」は認識の誤り  舛添厚労相
メディファクス 5422号 6月11日(水)

 舛添要一厚生労働相は10日の閣議後の会見で、医師不足に対する認識について「まともな勤務時間に直すだけで(医師数を)倍にしないといけない。偏在しているだけというのは認識が誤っている」と述べ、医師の増員の必要性を強調した。合理性を主張する経済学者や、経済財政諮問会議の民間議員、厚労省などの対応については「現場は市場経済原則だけで振り回して済むような問題ではない」「紙と鉛筆だけで計算して、これだけでできるほど簡単ではない」と批判的な見方を示した。
 議論が大詰めを迎えている医療の長期ビジョンについては、閉鎖寸前の産婦人科に大学から若手医師を派遣するなどして窮状をしのいでいる現状を踏まえ、「強制的に派遣されるのを若手医師は嫌がる。だから10年計画で医療体制をよくするために、今苦しいかもしれないが先に光が見えることをやりたい」と意義を強調。「不退転の決意で臨みたい」と意欲を示した。

 

■舛添大臣 閣議後記者会見概要(H20.06.10(火)09:36~09:48 ぶら下がり)
http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2008/06/k0610.html

(記者)

「安心と希望の医療確保ビジョン」について改めて伺いたいのですが、大臣がビジョン懇談会を立ち上げられた目的、問題意識の部分を改めてお聞きしたいのと、とりまとめはいつ、どのような形で行われるのかお聞かせ願いますか。

(大臣)

私は、やはりお医者さんの数が不足していると思います。偏在しているだけという方もおられますけれども、例えば、一週間に80時間とか90時間働いているわけです、皆勤務医が。そうすると、まともな勤務時間に直すだけで倍にしないといけないでしょ。そうすることを全く考えないでとにかく偏在しているだけだというのは私は認識は誤っているし、やはり医療の現場が崩壊している。経済学者が経済合理的に言うとこれだけカットできる、カットできると言うけれども、そういう方々に言いたいのですけれども、一度でもいいから医療現場に行ったことありますか。見たことありますか。医療や介護の現場。そんな市場経済原則だけ振り回して済むような問題ではありません。役所もそうです。例えば、経済財政諮問会議の民間議員もそうですよ。紙と鉛筆だけで計算してこれだけでできるというのは、こんな簡単なものはないです。私は、基本的に現場を見てやっているので、その現場の医療崩壊とうことをこのまま放っておいたのでは日本全体が駄目になる。目先の、明日産婦人科が閉鎖されるからどこかの大学からそこに一人産婦人科のお医者さんを連れてきてなんとか閉鎖を止めているのです。だけど、そんなことをすればするほど、そんなに強制的に行かされるのは嫌だよと若いお医者さん言うでしょ。だから、長期的に構造的なビジョンを作って、10年計画でこんなに医療体制を良くしますから、どうか皆さんお医者さんになってくださいよ。今苦しいかもしれないけど、先に光が見えますよということをやりたいので長期ビジョンをやったのです。ですから、これはきちんと議論をして現場を見ていただいて、どちらが正しいかというのを堂々と戦ってやらないといけないので、不退転の決意でこれは望みたい。国会が1週間延びるようですし、私は今原爆症の問題、それから長寿医療の改革、改正問題、年金問題、いっぱい抱えていますので、その交通整理をしていまして、なかなか時間の設定ができないので、早ければ今週中、しかし、国会が延びましたら来週くらいになるかもしれません。それでできれば数値も出して、これでいきたいということを申し上げて、それが内閣の全体の意見になるように努力をしますというのが今の状況です。

 

■第14回経済財政諮問会議 (平成20年6月10日)

大田大臣  経済財政諮問会議後記者会見要旨より抜粋
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0610/interview.html


 民間議員から次のような御発言がありました。効率化を進めることが重要で、そのために2点申し上げたいと。1つは、社会保障カードを前倒し実行してほしい。もう1つ、現在は風邪でも大病院に殺到するというようなことが起こっていると、診療所と病院の機能がしっかりと機能分担が働くような診療報酬の設定にする必要がある。ホームドクター制の構築を進めるべきだ。 舛添大臣から、民間議員の提案について次のような御意見がありました。民間議員ペーパーの最後の紙に、医師不足に対応するに当たって、医療にかかわる人の役割分担の見直しが提言されています。これにメディカルクラークというのをぜひ付け加えてほしい。それから、ここに書かれているような、こういう医師の周辺まで含めて役割分担ですね。実はここにお金がかかる(いうことを理解してほしい。医師だけではなく看護師も不足している。それから、看護師の質を上げるための養成、こういうことにお金がかかる。看護師の質を上げるためにざっと計算しただけでも400ベッド以上の病院を対象にしただけで年間2,000億円かかっている。決して医療の周辺人材を活用したからといって、ただでできるわけではない。
 
 それから、民間議員からのかかりつけ医と病院、開業医と病院の機能分担ができるような診療報酬の設定ということは、舛添大臣も医師会と随分闘った。それでも、なかなか問題があって相当難しい。地域でかかりつけ医、病院という仕組みをつくっていくのもお金がかかる。やはり医師の数を増やすのは大してお金がかかる話ではない。構造改革を進めるのにお金がかかるということを理解してほしい。
 それから、民間議員提案にジェネリック、後発医薬品を40%まで引き上げるということが書かれておりますけれども、使えるジェネリックを考えると30%でも相当満杯の状態だと。これまでは、ジェネリックを使うときに医師の判こが必要だったわけで、それをなくすことでここまで広がってきているけれども、やはり今後安全性の問題、ジェネリックが体に合うのか合わないのかといったような問題がある。厚労省が掲げている24年度まで、30%に引き上げるということで努力しているけれども、実際にここでお金がどれだけ出るかというのは、まだ今の時点ではそうはっきりとは言えない、これは舛添大臣からの御意見です。

 


■ロハス・メディカルブログ
議連決議 2008年06月11日 20:32
http://lohasmedical.jp/blog/2008/06/post_1240.php

『医療現場の危機打開と再建をめざす議員連盟』会合についてのレポートです。

結論として、以下2項目+αの実現を図れとの決議をすることになったそうです。
文面は尾辻秀久会長一任。
1、「医学部定員の削減に取り組む」という閣議決定を見直し医学部定員を大幅に増加する
2、社会保障費の年間2200億円の削減方針を見直し、必要な医療予算を充分確保する
近日中に決議として文面をまとめ
できるだけ大勢の議員で連れ立って財務大臣や厚生労働大臣など
関係各大臣あてに申し入れを行う、とのこと。