骨太の方針を巡る福田総理と舛添大臣の見解

経済財政諮問会議で「骨太の方針2008」が決まろうとしています。来年度の予算は、これによってほぼ決まります。これだけ医療現場が疲弊し、崩壊していても、福田総理は医療費削減を貫く方針です。一方、舛添大臣は、医療に必要な予算を付けるべきだという信念を貫いておられます。

以下、福田総理と舛添大臣の発言記事です。

 

【福田首相】

●【共同通信】 2008/06/10 20:25  
2200億円の圧縮堅持  諮問会議で福田首相
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061001000732.html

 政府は10日、経済財政諮問会議を開き、重要政策の基本方針である「骨太の方針2008」の骨子案を示した。福田康夫首相は「社会保障も聖域ではない。『骨太の方針2006』にのっとり、これまでの制度の非効率を徹底して削減する。歳出規律は緩めない」と述べ、社会保障費の伸びを2200億円圧縮する政府方針を堅持する考えを示した。

 社会保障費の自然増の圧縮は、自民党などから見直しを求める声が相次いでいる。福田首相は医師不足や介護労働力の不足が顕在化していることなどを挙げ「(これらの)新たな課題には、ほかの歳出削減で対応する」と強調。一般財源化される道路特定財源などが念頭にあるとみられる。

 圧縮の具体策としては民間議員が雇用保険に対する一般会計からの国庫負担(08年度は1600億円)を削減すべきだ主張。これに対し舛添要一厚生労働相は「ばっさり切るのは問題がある」と反論し、今後、国庫負担の削減幅が焦点となる。

 

●6月10日20時21分配信 産経新聞
社会保障費、年2200億円圧縮可 経済財政諮問会議の民間メンバー試算

 経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)の民間議員は10日の会合で、社会保障費の自然増を毎年2200億円圧縮する政府目標の実現に向けて、医療費を削減するための試算を提出した。試算では、後発試薬品の利用率を欧米並みの40%に高めることで年間約700億円▽検査入院期間の短縮など重複検査の削減で年間200~300億円-などと具体的な対策と、その削減可能額を提示。残り3年間で、目標通り6600億円圧縮できる可能性を示した。
 社会保障費の削減をめぐっては、産科の医師不足や救急医療の受け入れ問題などの課題が表面化。改革のひずみに対する国民の不満が高まっており、与党の一部から社会保障費の抑制は「限界だ」との声が相次いでいる。
 これに対して、福田康夫首相はこの日の会合で「社会保障も『聖域』ではない」と改めて強調。圧縮努力を続けるとともに、新たな課題に対する費用の増加には他の歳出削減で対応する方針を示した。
 ただ、「削減の余地がない」との声は社会保障費だけにとどまらない。実現のためには消費税増税を含めた歳入改革が不可避だが、歳出増を求める与党の圧力は強く、目標堅持には難しさが漂っている。

 

【舛添大臣】

●2008/06/10 22:42     キャリアブレイン
舛添厚労相「首相も政策の転換を」
http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=16532

 舛添要一厚生労働相は6月10日、東京都内のホテルで開かれた自民党の後藤茂之衆院議員(政調副会長兼事務局長)のパーティーであいさつし、「社会保障をしっかりやり、必要なお金をそこに付けるという方針を内閣全体の方針にしてもらうよう努力している。そういう方向で福田康夫首相も政策を転換する方が日本国全体のためにいい」と述べ、社会保障費を堅持していく考えを強調した。

 舛添厚労相は、現在は年金や後期高齢者医療制度、救急医療の受け入れ不能や医療崩壊などの問題があるとして、現行の政策が続けば、政権交代が現実味を帯びる可能性があるとの見方を示した。その上で、「生活のことを考え、社会保障をちゃんとやる。こう方針を転換しないと、とてもではないが次期総選挙でわが党が勝つのは難しいという危機感を持って毎日国民と接している」と述べた。「わたしは内閣の一員だが、やはり社会保障をしっかりやり、必要なお金はそこに付ける。そういう方針を内閣全体の方針にしてもらうように今、努力をしている。そういう方向で福田首相も政策を転換する方が、日本全体のためにいい」と、社会保障費抑制政策に否定的な見解をあらためて示した。 
 国民の自民党に対する批判については、「政策の面で勝負したい」と述べた。

 後藤議員は旧大蔵省出身で、現在は党の政調副会長兼事務局長、政調全体会議(予算合同)事務局長、税制調査会幹事などを務めている。