日本外科学会は16日、長崎市内で記者会見し、厚生労働省の死因究明・再 発防止に関する第3次試案に賛成する声明を発表した。会見で兼松隆之会長 (長崎大教授)と高本眞一・医療安全管理委員長(東京大教授)は、3次試案 に示された「医療安全調査委員会の設立」の精神を支持し、委員会の設立に協 力を惜しまないとの見解を示した。
■日本外科学会による声明
http://www.jssoc.or.jp/aboutus/relatedinf/info20080519.html
平成20年5月14日 | |
声 明 | |
社団法人 日本外科学会 | |
厚生労働省の「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する検討会」において議論されている中立的専門機関としての医療安全調査委員会の設立の趣旨が厚生労働省第3次試案として提示されました。これに関して我々日本外科学会の見解を述べます。
日常診療の中でも外科診療は最もリスクの高い医療であります。我々外科医が誠意と善意に基づいて診療を行ったとしても、その結果によっては、現時点では何時でも医師法21条による警察届出から刑事捜査の対象になる可能性があります。こうした現状が、小児科、産婦人科、外科における萎縮医療や医療崩壊の元凶となっています。
厚生労働省第3次試案として提示された中立的専門機関としての医療安全調査委員会は、医療者が自ら医療安全を目指して医療事故の原因究明と再発防止を図ろうとする新しい仕組みであります。現在の医師法21条の取り扱いを改めて、我々医療者を突然の逮捕や不合理な刑事訴追から守るものであるとともに、医の原点に立ち戻って、患者と医師の信頼関係を再構築するための新たな仕組みであると考えます。
我々日本外科学会は第3次試案に提示された「医療安全調査委員会の設立」の精神を支持し、委員会が真に医療者と患者のためによりよい医療を目指すものとなるように、その成立に向けて努力します。また、この医療安全調査委員会が設立された暁には、この委員会の精神を正しく遂行するために、学会としてあらゆる協力を惜しまない所存です。
医療は患者と医療者の相互の信頼の上に成り立っています。我々日本外科学会は、患者とともに、また国民とともに日本の医療を守る努力をする決意です。 |