原発事故後の避難が長期的に慢性疾患に及ぼす影響

 ロンドンの野村周平君たち( Shuhei Nomura )との共同研究の論文が発表されました。
http://bmjopen.bmj.com/content/6/2/e010080.full

 テーマは「原発事故後の避難が長期的に慢性疾患に及ぼす影響」で、以下がポイントです。お読み頂ければ幸いです。
(1) 糖尿病と高脂血症のリスクは、事故から3年以上経過しても、事故前過去3年と比較して有意に高かった。これは避難の有無にかかわらず認められており、災害後、長期的にこれらの慢性疾患管理が重要であることを示唆している。

(2) 一方、高血圧リスクは事故後の上昇が見られなかった。可能性として、他の2疾患(高脂血症と糖尿病)に比べ、セルフモニタリングが悲侵襲的でかつ簡便であり、もともと社会一般の関心の高さが働いたことが考えられる。内服によるコントロールのしやすさも関係しているのかもしれない。

(3) 本研究は、当該地域にて避難と高脂血症の長期的リスクの関係を示した最初の調査である。今後も避難者の健康に対しては長期的な介入が必要である。