HPVワクチン騒動は朝日新聞が作った「冤罪」か

 HPVワクチン問題が迷走している。WHO, CDCに続いて、欧州の規制当局(EMA)までが、HPVワクチン安全宣言を表明した。これで、HPVワクチンの安全性については、世界的なコンセンサスが確立したといっていい。
http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp...
 ところが、このことを日本のメディアは報じなかった。なぜだろう。
 私は、HPVワクチン事件は、一部メディアが作り出した「冤罪」だと思っている。最大の問題は、「患者を利用した」こと。
 この事件のきっかけは、神経症状で困っている女性患者がいたこと。そして、彼女がHPVワクチンを打った経験があったこと。それを見て、誰かが「ワクチンが悪い」と言い出した。ただ、ワクチンは原因の可能性の一つに過ぎない。先入観なく、科学的な議論が必要だ。ところが、マスコミが視聴率のために患者を利用した。
 きっかけは13.4.8の記事だ。各紙、以下のように報じている。
「子宮頸がん、ワクチン接種中止を―民間団体が嘆願書」
 ただ、これは適切な報道だと思う。メディアは、まず被害者サイドにつくべきだからだ。
 この後、新聞各紙でHPVワクチンの扱いは随分と差が出る。特にワクチン叩きに熱心だったのは朝日だ。それから二ヶ月の間に9つの記事を配信している。ちなみに読売は一つ、共同は3つだ。
 記事内容は以下のような感じ。前者を挙げて、アンチキャンペーンをはっていることがわかる。
5/13 (私の視点)子宮頸がんワクチン 安易な接種の推進やめよ 池田利恵
5/27 (声)子宮頸がんワクチンに不安
 その後、報道の中心になるのは、斎藤智子記者だ。最近二年半の間に24本の記事を書いている。論調は以下の通り。
(記者有論)子宮頸がんワクチン 国の推奨再開、納得できぬ 斎藤智子
 彼女が記事の中で、WHOの声明に触れたのは三回だけ。
「世界保健機関(WHO)は日本の状況を踏まえたうえで、ワクチン接種を推奨している」と末尾に書いている。
 CDCやEMAには一回も言及していない。
 私は、メディアが自ら、HPVワクチンに関する報道を総括すべき時期だと思う。HPVワクチン騒動は、マスコミの「過失」から始まった。繰り返すが、メディアが患者に寄り添うのは「正しい」と思う。
 問題は、世界中で研究が進んだのに、「誤報」を怖れたのか、一向に論調を変えなかったこと。これでは、従軍慰安婦報道から何も学んでいないことになる。
 その結果、他に原因がある女子の患者が、「何が何でもHPVワクチンのせいにしたい」大人の都合で無意味な闘争に巻き込まれている。
 すでに世界のコンセンサスは出た。
 マスコミの皆さん、そろそろ「反省」したらどうだろうか。これ以上やると「故意犯」になる。