新型ワクチンの10mlバイアルの功罪

 新型ワクチンの10mlバイアルについて。

●単回バイアルと複数回バイアルの比較

 multi-dose vial (MDV)による各種ウイルス感染の報告は多数あります。

 単回バイアルと複数回バイアルの比較のレビューですが、

Single-dose versus multi-dose vaccine vials for immunization
programmes in developing countries.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2572331/
があります。

 様々な観点からレビューされています。
・費用:1回分バイアル製造価格は10回分バイアル製造価格の2.5倍
・保存施設の容積:1回分バイアルは10回分バイアルの6倍 (冷蔵保存が途上国では難しい)
・廃棄率による費用比較:廃棄率が44%を超えると、1回分バイアルのほうが10回分より安くなる
・医療廃棄物:1回分バイアル54cm^3, 10回バイアル70cm^3

 製品を迅速に上梓できることの利点・価格効用比はレビューされていません。

 各国の状況によりsingle dose vialかmulti dose vialを選択すべきであると議論
されていますが、
 10mlバイアルの選択において、製品を迅速に上梓でき、人数を増やせるという
観点が、全ての上記の議論を踏まえ、決定されたのか極めて疑問です。

●オーストラリアでも10ml議論

 オーストラリアでも以下のような10mlバイアルが使用されています。

http://www.emergency.health.nsw.gov.au/swineflu/resources/pdf/multidose_vials_large_clinic_final_210909.pdf

 豪州感染症学会などが反対声明を出しています。

http://www.crikey.com.au/2009/08/31/infection-control-experts-add-to-concerns-about-multidose-flu-vaccine/

http://www.theage.com.au/national/infectious-disease-risk-in-swine-flu-jabs-20090820-es2a.html

 同じ議論が日本でもできると思います。