◎死因究明制度
第三次試案への見解が相次ぐ
日産婦は条件付き評価、救急医学会は反対など
●日本産科婦人科学会「医療現場の混乱を改善する第一歩」
「第二次試案への見解と同様、医療事故に対する刑事訴追に反対する見解は変えていない」としつつも、「医療安全委員会」の設立は「医師法21条の拡大解釈がもたらした医療現場の混乱を改善する第一歩」と位置づけ、評価する見解を提出し、その上で、制度の目的である原因究明と再発防止の実行を上げるための提言を記載。
●日本救急医学会「試案を作り直すことを希望」
「試案そのものには反対。行政、司法、立法などの大所高所からの視点を加え、試案を作り直すことを希望する」との見解を提出した。
死因究明制度の必要性を認めつつも「救急医療に対する理解、配慮が十分になされていない第三次試案のままでは、わが国の救急医療は崩壊する」と警鐘。
●日本麻酔科学会「このままでは賛同できない」
「責任追及を目的としていない」としているが、警察や検察が責任を追及しないという裏付けが書かれていないと指摘。
試案と法律用語では「過失」の定義が違うと指摘。「過失」という言葉を用いたら業務上過失致死傷罪が適用されると強調した。
●全国医学部長病院長会議「警察・検察と正式な合意文書を」
刑事罰との関係について、検察庁・警察と正式な合意文書を作成すべき」とする見解を提出した。
またWHOの世界基準に沿った調査委員会を創設すべきと強調した。
●日本病院団体協議会「原則賛同」
しかし「試案の内容については、加盟団体から多くの意見があり、集約するには至っていない」としている。
●日本病院会「基本的に賛成」
医療事故死のすべてに医師法21条を適用する考え方には無理があると指摘。
●全日本病院会「再度議論を」
報告書を刑事訴追に用いない仕組みが必要と訴えた。
●日本法医学会「21条の異常死届出の遵守を」
見解では、1)届出制度、2)行政処分、民事紛争、刑事手続きとの関係-など6項目について提言。
1)については、H6年に同学会が発表した「異常死ガイドライン」に従い調査委員会と同時に「医師法21条の異常死の届出」をすることを求めた。
2)の捜査機関との関係については、検察官や司法警察官から調査資料の提出を求められた場合、拒むことはできないと考えられることを指摘。また、調査の途中で診療記録などが捜査の証拠として差し押さえられることを予想し、これらの点について、調査期間と捜査機関が協議すべきとした。