現場からの医療改革推進協議会第3回シンポジウム報告

11月8,9日に開催した「現場からの医療改革推進協議会」の第3回シンポジウムについていくつか記事が出ていますので、ご報告いたします。

様々なテーマでの議論を行うことができ有意義な会であった一方、医療関係者同士の議論が中心であり、違う立場の来場者からの発言はほとんどなかったという指摘はその通りでもあります。
シンポジウムで議論したことに満足するのではなく、一般の方々に関心を持ってもらい、合意を得ていくにはどうしたらいいか、ということを今後の課題として、活動していきたいと考えております。


■キャリアブレイン 2008/11/16 22:50
「面白かった」を実行につなげられるか
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19176.html

「面白かった」を実行につなげられるか(続き)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19177.html

 

■キャリアブレイン 2008/11/10 22:22
医師やジャーナリストら約40人が提言―現場からの医療改革シンポ
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/19084.html


■キャリアブレイン 2008/11/10 22:11
医師の自律守らねば、医療が崩壊する―小松秀樹氏
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/19079.html


■キャリアブレイン 2008/11/10 18:41
妊産婦死亡の遺族に支援を―佐藤章・福島県立医大教授
https://www.cabrain.net/news/article/newsId/19073.html

 


■m3.com MR君 So-net M3 橋本編集長 
11/10号 「警察に通報される確率がゼロの人が立案者」と現役官僚  - 2008/11/10


「警察に通報される確率がゼロの人が、"医療事故調"案の法案作成を支えていることになります」
「約1年7カ月も("医療事故調"の)検討会が続いています。提出期限がないパブリッ クコメント(パブコメ)は見たことがありません。これだけ大量のパブコメが寄せられたのも始めてです。厚労省が国会に法案を提出する前から、反対意見が続出しています」
 
次々と展開される"厚労省批判"。驚くべきことに、発言者は当の厚労官僚、同省の改革推進室の村重直子氏 。11月8日に東京都で開催された、「現場からの医療改革推進協議会」の第3回シンポジウムでのことです。同協議会は、医療者、国会議員など様々な立場の人から成る任意組織で、文字通り"現場発"の医療改革を実施するために活動しています。村重氏は「厚労省の公式見解ではなく、個人の立場としてお話します」と断っています。
 
村重氏は医師。1998年に東大医学部を卒業後、国内外で臨床に携わり、2005年に厚労省に入省、今年3月から現部署で働いています。 村重氏の手厳しい発言は、「行政に"お願い"してはいけない」ことを強調し、"現場発"の医療改革を促すのが主たる目的ですが、 「厚労省改革なくして、医療改革なし」という思いもあったようです。「官僚も医療と同じです。医療者が患者さんと向き合っているのと同様、官僚も国民と向き合うことが重要」(村重氏)。
 
「"医療事故調"をめぐる動きは、医系技官発案の厚労省案成立を現場から阻止した実例」と村重氏。
 
診療関連死の死因究明などを行う、"医療事故調"については、 2007年3月に第1次試案、10月に第2次試案、2008年4月に第3次試案、そしてこの6月に大綱案が出ています。その都度、厚労省はパブコメを求めたものの、団体、個人を問わず反対意見が続出、結果的に現在もなお検討会が続いています(『 「第三次試案」「大綱案 」へのパブコメは計732件に』『 「賛否の見解の相違は、性善説 か性悪説かの違い」』などをお読みください) 。冒頭の村重氏の発言はこの現状を指摘したものです。
 
当サイトが6月に実施した調査『1万人アンケート!「民主党案」支持派が多数』にも村重氏は言及し、 「この程度の支持(厚労省案支持は14.3%)しか得られない厚労省案を国会に提出するとしたら、いったい民主主義とは何か、という素朴な疑問がわいてきます」と問題提起。
 
「法律は誰が何を守るために作るのでしょうか。官僚が作るのでしょうか 、国民が作るのでしょうか、国民を代表する国会議員が作るのでしょうか。また、法律が守るのは、官僚の無謬性ではなく、国民の生活であるはずです」

「官僚は終身雇用で、医系技官は医療の現場に戻ることは基本的にはありません。つまり、医療事故に巻き込まれる可能性はゼロ、つまり自分が医療事故に遭い、警察に通報される確率もゼロ、といえる人たちが"医療事故調"の法案作成を裏で支えていることになります」

「でも時代はどんどん変わってきます。官による大本営発表ではなく、民によるインターネットを使った現場からのリアルタイムの発信、徹底した情報開示が行われ、皆さんが考える材料を得ることが可能になりました」
 
"現場発 "の象徴的な動きは、諫早医師会が今夏に実施したアンケートでしょう。郡市医師会が日本医師会とは独立して調査すること自体、異例です。その上、日医は厚労省の第3次試案に賛成していますが、そもそも9割近い郡市医師会は「都道府県医師会から賛否を聞かれたことがない」と回答するなど、日医の意見は現場の総意ではないことが浮き彫りになっています(『長崎県諫早医師会会長・高原晶氏に聞く 日医の"事故調"厚労省案支持に異議あり』をお読みください)。
 
「自ら行動する、自律的な提案型へ 」
 
こう締め くくった村重氏。先例や組織の論理などにとらわれない自律的な行動は、医療者だけではなく、厚労官僚にも求められること。村重氏に、他の厚労官僚が続くことを期待したいものです。


■Japan Medicine
提供:じほう

現場からの医療改革推進協議会 「医師の自律」をめぐって討論 医師の総意を反映する公益法人とは 

【2008年11月14日】
 11月8-9日に都内で開催された「現場からの医療改革推進協議会」第3回シンポジウムの2日目、「医師の自律」をテーマにシンポジウムが行われた。シンポジウムでは、医療事故調査機関の設置について依然議論が沸騰するなか、医師による自律処分制度はどうあるべきかが問われた。日本医師会への風当たりも強く、勤務医を含む医師全体の意見を反映した医師団体の在り方をめぐり活発な討論が行われた。

 シンポジウムでは虎の門病院の小松秀樹医師が基調講演を行い、英国の総合医療評議会(GMC)での会員に対する自律処分制度について解説し、日本にも医師の自律を担う団体が必要であると強調した。医師の処分は、「可能な限り立法には頼らず、医師の自律によって対処すべき」だが、大変革を性急に行うことには危険が伴うとあらためて訴えた。
 医師の自律的な処分制度は本来、最大の医師職能者団体である日医が担うべき役割と考えられてきた。しかし、医療事故安全調査委員会の設置をめぐる議論の中で、日医のスタンスには現場の声が反映されていないと勤務医から猛烈な反対を受けており、医師全体の意見を反映した新たな団体を待望する意見が相次いでいる。
 小松氏は、12月1日の公益法人改革3法の施行は、新たな組織の創設を行う最大のチャンスとみている。開業医の利益を主張してきた日医は、これまでの活動内容や組織構成から公益法人には適さないと考えるためだ。
 これに対し、一開業医の立場で出席した日本医師会常任理事の内田健夫氏は、日医の公益法人化について発言し「病院や看護学校、検査センターを運営している支部もある。多くのハードルを乗り越える必要があるが、調整しながら公益法人の認定取得を目指していきたい」とした。また、「公益法人化を目指すばかりに業界内の問題を先送りにすることはない」と組織改革への意気込みを述べた。
 さらに医療安全調査委員会の設置については、個人的見解として「医師という医療の専門家がコントロールできる範囲でのかかわりにとどめたいと思っており、内閣府・厚労省に設置することには違和感を持っている」と話した。
 病院側から医療訴訟にかかわる機会が多い木ノ元直樹弁護士は、「これまで以上の負担増につながる医療事故安全調査委員会の大綱は撤回すべきだ」と指摘した。
 問題点として、警察の捜査権を制限する法的根拠の欠落や、被害者側の告訴権が残されたことに加えて、検察審査会改革で制度が骨抜きにされかねないことなどを挙げた。航空機事故の調査でも日本では国際的条約違反が横行していることから、木ノ元氏は医師による自主的懲戒制度の創設が望ましいとの見解を述べた。
 国立がんセンター中央病院院長の土屋了介氏は、「厚労省が悪いのではない。これまで医師が総体的に自律してこなかったことが元凶だ」として、まず医師らが自ら医療事故安全調査委員会を作るべきだとした。
 こうした医師主導の死因究明の在り方には異論も出た。会場からは「医療事故安全調査委員会は患者の駆け込み寺ではなかったのか。医師に任せておけば間違いないと担保するものはあるのか」との意見が出た。
 日本産科婦人科学会・産婦人科医療提供体制検討委員会委員長の海野信也氏は、「真相究明は一般の方が納得できるように行うべきであり、専門家としての(医学的)評価は自分たちの中でやるべきだろう」と述べた。

強制加入は実現可能か

 弁護士は弁護士法の規定によって、弁護士会への加入・登録が義務づけられている。弁護士会には監督官庁もなく、処分制度も弁護士会によって自治的に実施されている。シンポジウムの司会を務めた鈴木寛参議院議員は「なぜ、医師の間では自律作用が働かなかったのか」と追及した。
 土屋氏は「医師の総体となる団体は医師自ら作るのが理想だが、歴史的には不可能だ。弁護士会のように法律で強制加入を定めることもあり得るのではないか」との意見を述べた。
 内田氏は「日医でも過去に強制加入の議論はあったが、現状では無理。本当に強制加入がよいのかは今後の検討課題だ」とした。これに対し、小松氏は「慌てて強制加入制度を作るべきではない。議論に参加していない人が大勢いるので、まずはそうした医師に自分たちの問題だという覚悟を突きつけることが先決だ」とした。小松氏はさらに、日医の公益法人化に向けた議論の中で3-4年のうちに決着する問題との見方を示した。

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■橋本岳議員ブログ
現場からの医療改革推進協議会 第三回シンポジウム・『イノセント・ゲリラの祝祭』
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http://ga9.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/post-0d9e.html


■石森ひさつぐ氏のブログ
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■足立信也議員ホームページ
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■Yahoo!みんなの政治 鈴木寛 活動記録
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