いくつかの新聞の社説で、医療事故調が取り上げられています。残念ながら、この制度が抱える問題点を、マスコミは上手く説明できていません。どうしても表層的なコメントになってしまっているようです。我々医療者自身が、医療の専門家として、パブリックコメントや学会などできちんと議論する必要があると強く感じています。
大きな問題点として、依然、下記の要素が残されています。
1)調査組織が重過失・故意の法的判断を行うこと
2)従来の医師法21条の届け出基準の方が、医療事故調に届け出る基準より大きいため、実質上は全ての症例を届け出ることになる可能性があること
3)全く議論のないまま、医療法25条が改正され、厚労省に調査・処分権がつくこと。
この調査権・処分権は、医療事故調だけでなく、全ての医療行為にわたります。従来は県が担っていたものです。厚労省が処分すると、医道審のように顔を知らない有識者が書面だけで短時間に審査するため、実情を考慮しなくなる可能性が高くなります。地域には地域関係者にしか分からない状況があります。処分は双方が十分に情報交換できる、自治体が中心となって行うことが望ましいのです。また処分を自治体が行うのであれば、調査権、処分権が分離されます。
●MSN産経ニュース 【主張】 医療事故調 どう公正さを担保するか 2008.4.6 02:13
●北海道新聞 社説 医療事故調 信頼に基づいた制度に(4月5日)
●中國新聞 医療事故調査委 患者の視点で防止策を '08/4/5
●読売新聞 医療安全調査委 警察と裁判に持ち込む前に(4月6日)