医療事故調第三次試案関連の報道が出ています。
1)ヨミウリオンライン(2008年4月2日 読売新聞)
■医療事故究明に立ち入り権限...厚労省が「調査委」設置案
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080402-OYT8T00430.htm
厚労省がリークしたのでしょうか。記事が掲載されています。
第三次試案についてのことと思われますが、ニュース記事を読む限り、21条の改正は書かれていますが、『医療機関が委員会へ届け出るよう義務化』とされています。また『委員会は、カルテ改ざん、医療事故の繰り返し、故意や標準的な医療行為から著しく逸脱した重大な過失など、悪質なケースに限り警察に通報する』のも残されているようです。
2)日本医事新法 No.4379(2008年3月29日) p6-8
■「第三次試案」たたき台に幅広い議論を 日本学術会議が公開講演会を開催
医事新報で、先日の日本学術会議公開シンポ、日本医療法人協会代議員会を紹介しています。
いつもと同じように厚労省検討会委員が、新組織が出来ると警察が介入しなくなると言っています。今回は二川一男医政局総務課長も同様の発言を公言しています。
役人と検討会委員は法律素案を作っているはずが、立法後の運用までてらいもなく公言しています。本来、彼らにこのようなことを決める権限はありませんし、また、警察・司法関係者の思惑に左右され、厚労省の思惑通り行 かないことは明らかです。その意味で、前田氏の発言、二川課長の発言は、 民主主義の主旨に反します。現時点で、警察は全く公に発言していませんし、当然ですが、保証していません。
以下、興味ふかい発言です。
「医師の代表の目を通した後でなければ、刑事司法は動き出さないというシステムが構築される」(前田雅英 3/21 日本学術会議公開講演会)
言葉の問題を正面に持って行くと議論が止まってしまう。流れの中で医療と刑事司法の信頼関係を構築する(前田雅英 3/21 日本学術会議公開講演会)
警察が独自に動くことをブロックする仕組み (二川課長 3/14 日本医療法人協会代議員会)
警察は通知の有無を踏まえて対応する。通知がない場合は調査委員会での調査を進める。 (二川課長 3/14 日本医療法人協会代議員会)
ちなみに、司法関係有識者の発言です。
医療安全調査委員会の結論が刑事法上の責任追及の責務を負っている警 察、 検察に対して拘束力を持たない以上その結論を尊重するといっても、具体的事件においては無視される可能性が高い。 (元検事 河上和雄氏)
「刑事は謙抑的」という理念と、「明らかな過失=警察への連絡」という従 来より拡張しかねない方針との矛盾 (早大 和田仁孝教授)。
過失概念は法的概念であって、医学的概念ではない。医師を中心とする委 員 会の委員で真の意味の過失概念を理解している人物を多数揃えることはまず不可能であろう。(元検事 河上和雄氏)
3)日経バイオテクオンライン
薬害対策を踏まえて医薬品医療機器総合機構(PMDA)改革の一環です。
有料の登録サイトですが、日経バイオテクオンラインで紹介されています。
■続報、医薬品医療機器総合機構の新理事長が決定、舛添大臣による厚労省・総合機構改革の号砲鳴る
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2008032854021
厚生労働省は2008年3月28日、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の新理事長を決定した。4月1日付で、現・国立国際医療センターの近藤達也病院長が就任する。舛添要一厚生労働大臣が閣議後の会見で明らかにした。(全文はサイト登録してお読みください)
近藤達也医師は脳外科医で、臨床医がPMDAのトップにつくのは旧医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構の時代を含めても初めてだそうです。本文中では厚労省改革準備室にも触れており、こちらは医系技官として村重直子さんが抜擢されています。
厚労省改革に取り組もうという舛添大臣の明確な意図が伺えます。