> 研究室の活動

新しい医療体制 

私たちは高齢化に伴う疾病構造の変化、および情報工学の発達による社会システムの変化が医療提供体制にも影響すると考えています。
 前者は価値観の多様化、後者は医療機関における選択と集中という形で現れ、ちょうど、流通業界が高級百貨店と小売店が中心の状態から、コンビニと専門店へ再編されたのと似た変化が起こると予想しています(医療サービスと生活動線 PDF 336KB)。選択と集中に関しては、医療機関の集約化をいう形ですでに現実化しています。がんや心臓の手術数は、一部の専門機関が東大や慶応大学などの名門大学を大きく引き離しています。医療情報の開示が進めば、外科手術など、治療が短期間で終わるものに関しては、急速な集約化が進むでしょう。専門医も一施設に集約することで、勤務条件が改善します。
 一方、生活習慣病などの慢性疾患やがんの術後ケアなどでは、集約化は進まないと予想しています。むしろ、医療サービスの提供を患者の生活導線に位置づけることが患者ニーズを捉えるのではないかを考えています。いわば、「医療コンビニ」の誕生です。ただ、患者の医療への期待は消費者の流通業界への期待とは明らかに違うため、「医療コンビニ」はセブンイレブンやローソンなどの流通業界とは全く異なる様式となるでしょう。 この分野の研究は上 昌広を中心に遂行しています。

コラボクリニック新宿 

当教室の研究生である教養学部文科I類の城口洋平を中心とする20名の大学生が立ち上げた新宿駅西口のクリニックです。
内装から電子カルテまでのすべてが彼らの手作りです。特に内装には重点をおき、東京藝術大学4年の古賀琢磨が担当してくれました 。大学生の獅子奮闘の活動の結果、立ち上げにかかった経費は約180万円でした。都内での開業には数千万円を要するといわれていることを考慮すれば、格安です。若い医師の退職金程度のため、クリニック開設の障壁を下げることができたと考えています。
 私たちの友人が院長を勤めていて、私たちの研究室も議論や医師仲間の紹介、兼業などの形で関与しています。当研究室の担当は田中祐次です。
 このクリニックは新宿駅西口を通るサラリーマンを対象としており、夕方6時から9時まで営業しています。 地元住民のニーズにこたえた、「コンビニ型医療」の社会実験の第一号と考えています。開設以後、さまざまなメディアに取り上げられ(コラボクリニック 業績・活動履歴)、大きな注目を浴びています。 今後、さらに様々な「社会実験」を続けていきたいと考えています。

コラボクリニック 業績・活動履歴

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