がん臨床研究に不可欠な症例登録を推進するための患者動態に関する研究
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分担研究報告 在宅医観点のがん患者診療の研究



研究結果

(1)対象者の医学的背景

対象患者は925名(男485、女434、不明6)、年齢(図1)の中央値は80歳(0-102)であった。主病名3つをICD-10分類した内訳(延べ数)を表1に、がん患者の内訳(延べ数)を表2に示す。がん患者(390名)のうち、43人は脳血管疾患後遺症を、5人は難病を合併していた。担がん患者の年齢中央値は77歳(2-102, n=390)、脳血管疾患後遺症患者の年齢中央値は82歳(22-102)であった。対象者の在宅医療開始時のADL(表3)や認知症のレベルについては表4に示す。

図1.対象者の年齢分布
図1.対象者の年齢分布 
 
表1.主病名(重複有り) →拡大表示
表1.主病名(重複有り)
表2.部位別にみた悪性新生物 →拡大表示
表2.部位別にみた悪性新生物
表3.ADLの状況
表3.ADLの状況
表4.認知症の状況
表4.認知症の状況

(2)患者の住まい

対象者の85%は自宅に住み、グループホーム(n=43, 4.6%)、有料老人ホーム(n=24, 2.5%)等であった(図2)。   対象者の居住地と在宅療養支援診療所との距離の中央値は4.45Km(0.4-34.4, n=916)であった(図3表5)。患者の居住地の郵便番号を元にした模式図を4〜14に示す。

図2.患者の住まい
図2.患者の住まい 
表5.地域毎の在宅療養支援診療所と患者の住まいとの距離
図2.患者の住まい
図3.在宅療養支援診療所と患者の住まいとの距離の分布
図3.在宅療養支援診療所と患者の住まいとの距離の分布 

(3)紹介元医療機関

在宅支援診療所と紹介元医療機関(前医)との距離の中央値は4.4q(0-592.8, n=823)であった(図15)。担がん患者の紹介元医療機関と在宅支援診療所間の距離の中央値は4.4km(0-582.1, n=235)、非担がん患者では4.2km(0-592.8, n=236)であった。

図15.紹介元医療機関と在宅支援診療所の距離(n=823)
図15.紹介元医療機関と在宅支援診療所の距離(n=823) 

(4)診断や治療を受けた医療機関

在宅療養支援診療所と患者が主病名の診断や治療を受けた医療機関との距離の中央値は5.5km(0-1192.7, n=471)であった(図16)。担がん患者の診断や治療を受けた医療機関と在宅支援診療所間の距離の中央値は6.7km(0-1192.7, n=235)、非担がん患者では4.89km(0-592.8, n=236)であった(p=0.0119)。年齢によるサブカテゴリー解析では、75歳未満7.55km(0-1192)、75歳以上4.76km(0-592.8)であった(p<0.001)。

図16.診断、治療をした医療機関(n=471)
図16.診断、治療をした医療機関(n=471) 

(5)在宅療養患者の患者動態

(表6)  がん患者390名のうち、がん拠点病院での診断や治療などを経たのちに在宅医療を開始した人は243人(62.3%)であった。243人中200人(82.3%)は、直接がん拠点病院から在宅紹介された患者であった。

表6.がん患者の患者動態
表6.がん患者の患者動態 
  
このサイトに関するお問合わせ先:東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム 社会連携研究部門
(旧:探索医療ヒューマンネットワークシステム部門) 上 昌広 
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