研究目的
前年度研究では、福島県・茨城県・島根県の造血器悪性疾患患者の動態調査を施行した。それによれば、調査した12医療機関のうち、9医療機関で、各病院から25km圏内に70%以上の患者が居住していることが明らかとなった。一方で、3病院の患者分布は比較的広範囲に広がっており、症例登録事業を推進するには地域特性を十分に考慮する必要がある。
今年度は、これまで調査を施行した福島県・茨城県・島根県及び東京都について、推定罹患者数の分布から患者動態について考察したい。なお、推定罹患者数は罹患率と年齢階級別人口をもとに算出される。罹患率は、同一疾患でも地域により異なる可能性があるが、先行研究の徳島県の事例からほぼ実際の患者動態を反映しているものと考えられる。
研究方法
造血器悪性疾患罹患者数の推定 調査対象は、既に年齢階級別罹患率が公開されており(がんの統計 2008年版、がん研究振興財団)、調査地域の年齢階級別人口から罹患者数が推定可能な、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫のいずれかを有する患者とした。福島県・茨城県・島根県・東京都の市区町村別男女別年齢階級別人口(平成18年4月推計人口)をもとに市区町村別推定罹患者数を算出した。さらに市区町村別推定罹患者数を集計し、2次医療圏別推定罹患者数を算出した。
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