がん臨床研究に不可欠な症例登録を推進するための患者動態に関する研究
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分担研究報告 透析患者における患者動態研究



研究結果

(1)患者動態調査

1)推定慢性透析導入患者数

性別5歳階級別慢性透析導入率を図1に示す。男女とも80〜84歳の年齢層がピークであり、総人口10万人に対する年間慢性透析導入患者数は27.0人/年であった。

図1 性別5歳階級別慢性透析導入率

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市町村別推定慢性導入患者数を図2に示す。

図2 推定透析導入患者数

図2 推定透析導入患者数 →拡大表示

これをもとに2次医療圏別推定慢性導入患者数を算出し、人口10万人あたり及び面積100 km2あたりの推定導入患者数を算出した(図3)。東葛南部医療圏では、人口10万人あたり導入患者数は22.9人、面積100 km2あたり導入患者数は148.8人であった。一方、安房医療圏では人口10万人あたり導入患者数は35.7人、面積100 km2あたり導入患者数は9.0人であった。
 県全体の推定慢性透析導入患者数は年間1552.8人であり、人口10万人あたり25.3人、面積100 km2あたり30.1人であった。

図3 2 次医療圏別単位人口および単位面積あたり推定透析導入患者数

図3 2 次医療圏別単位人口および単位面積あたり推定透析導入患者数 →拡大表示

2)患者動態

千葉県において血液透析導入を行っている60施設と、2004年から2006年の間に亀田総合病院で慢性透析導入を行った患者の市町村別の分布を図4に示す。透析導入施設には、外来で透析導入を行うクリニックも含んでいる。
 推定導入数(図2)に占める亀田総合病院における透析導入数の割合は、鴨川市、勝浦市、大多喜町、御宿町において年平均90%を超えており、鋸南町(69%)といすみ市(64%)が続いた。さらに鴨川市近隣について細分化して集計すると、君津市のうち鴨川市に近い上総地区(83%)、清和地区(50%)における亀田病院での導入率が高かった。また、南房総市では旧和田町(75%)、いすみ市では旧岬町(83%)、旧大原町(56%)で50%を超えた。
 患者居住地から亀田総合病院までの道のりの中央値は30.4km、最短0.3km、最長204.6kmであった。

図4 千葉県内の透析導入施設分布と亀田総合病院において透析導入を行った患者の分布

図4 千葉県内の透析導入施設分布と亀田総合病院において透析導入を行った患者の分布 →拡大表示

(2)医療提供体制の調査

2次医療圏別の単位人口(10万人)あたり及び単位面積(100km2)あたり医師数を図に示す(図5)。

図5 2 次医療圏別単位人口あたり及び単位面積あたり医師数

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県平均では人口10万人あたり151.8人、面積100 km2あたり178人であった。大規模病院が集中する千葉医療圏では単位人口あたり医師数は246.0人、単位面積当たり医師数は830.3人である。一方、県東部で中小の自治体病院しか存在せず、医師数が最も少ない夷隅長生医療圏では単位人口あたり医師数は89.0人、単位面積あたり医師数は29.6人であった。
 千葉県で診療に従事していると思われる日本透析医学会専門医は91人であった。このうち55人が透析導入施設に勤務していた。透析導入施設に勤務する透析医学会専門医の人数と1人あたりの推定透析導入患者数を図6に示す。

図6 透析導入施設で勤務する日本透析医学会専門医1 人あたりの推定透析導入数
(カッコ内は透析導入施設勤務専門医数)

図6 透析導入施設で勤務する日本透析医学会専門医1 人あたりの推定透析導入数 →拡大表示

  同様に、透析導入施設に勤務する日本腎臓学会専門医についての結果を図7に示す。県内の腎臓学会専門医は67人、透析導入施設に勤務しているのは33人であった。

図7 透析導入施設で勤務する日本腎臓学会専門医1 人あたりの推定透析導入数
(カッコ内は透析導入施設勤務専門医数)

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このサイトに関するお問合わせ先:東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム 社会連携研究部門
(旧:探索医療ヒューマンネットワークシステム部門) 上 昌広 
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