研究目的

厚生労働省から平成16年度に「第3次対がん10か年総合戦略」の戦略目標として、「基礎研究の成果を幅広く予防、診断、治療に応用する」が掲げられており、患者に直接役立つ治療法の研究の推進が重要とされている。がん治療の均てん化及び、がん臨床研究推進には症例登録を円滑に遂行できる医師・患者・医療機関ネットワークシステム及び患者動態に関する基盤データの構築が不可欠である。従って、患者動態調査及び実地調査を行い、地域の医療需要や医療資源の分布状況（Asano N et al. Med Educ 2001, Mizuno J et al. 麻酔 2005）を明らかにし、地域の医療関係者等と協議の上、医療機能の分化と連携を推進していく取組みを進めることが重要であり、これを本研究の目的とする。

―――これまで日本において、がん患者動態に関するまとまった先行研究はない。個々の地域中核医療機関では紹介患者と紹介元機関を把握可能であるが、それらはデータ化されておらず、公開利用されていない。また、多数の地元医療機関における紹介動態は不明である。地域中核医療機関と地元医療機関に対し、紹介先調査とその選択理由、情報収集の方法、現在の問題点と要望を調査する研究は、本研究が初の試みである。